2015年12月13日日曜日

火はなぜ燃え広がるのか?物理的にどういう意味か?

酸素が豊富にある場合、燃料に一旦火が付くと燃料を燃やし尽くさないかぎり延焼は止まらない。一か所に火をつけただけなのに、なぜ周りの燃料も燃えるのか?自分は長年疑問であった。

この疑問も、図書館で燃焼の物理の本を読んでなんとなくわかったのでまとめる。

(話の前提:火の色を確認できるようになるのは温度が高くなるからであって、ここでは火が燃え広がるを温度が高い領域が増えるという意味に変えて説明していきます)

-----------------
スポンサードリンク

-----------------

ここでは、豊富にある砂糖の燃焼を考えてみる。砂糖は炭素Cや水素Hや酸素Oからできている。分子式で書くとC6H12O6である。これが酸素O2と化学反応をすると、

C6H12O6+6O2→6CO2+6H2O+Q(kJ) となる。

この化学反応は発熱反応なので、Q(kJ)の熱が出る。熱が出れば、化学反応を起こしている場所の温度が高くなるはずである。しかし、実際には、周囲に熱が逃げることも考える必要があり、温度が上昇するかはわからない。

そこで、化学反応を起こしている場所が温度上昇するかを考えてみよう(温度上昇すれば燃焼していることと一緒である)。

考えるのは、"時間当たりの化学反応による発熱量"と"時間当たりの周囲に逃げる熱量"ではどちらが大きいかである。"時間当たりの化学反応による発熱量"が大きければ、温度は上昇するし、"時間当たりの周囲に逃げる熱量"が大きければ温度は下がる。

まず、"時間当たりの化学反応による発熱量"を考える。これは、温度が高いほど化学反応の反応速度が速くなるため、温度が高いほど"時間当たりの化学反応による発熱量"は高くなる。"時間当たりの化学反応による発熱量"は温度Tの増加関数で表される。(ちなみにTを温度として、反応速度はAexp(-ΔE/RT)と統計物理学によって求められている)。

次に、"時間当たりの周囲に逃げる熱量"を考える。温度が高くなると周囲との温度差が大きくなり、"時間当たりの周囲に逃げる熱量"が大きくなる。そして、"時間当たりの周囲に逃げる熱量"も温度Tの増加関数で表される。

そして、それぞれの熱量と温度Tの関係を表したのが下図であり、どちらが大きいかで温度上昇か温度が下がるかが決まる。


















上の図を見ると、温度がTi以上Tf以下の時、"時間当たりの化学反応による発熱量"は、"時間当たりの周囲に逃げる熱量"より大きいので、温度が上昇する。つまり、温度がTiを超えると、勝手に温度が上昇し始めTfまで温度が上昇し続けるのである。このTiを発火温度という。

ある領域で砂糖が温度Ti以上になると、化学反応の発熱で温度が上昇し、その熱が周りの砂糖の温度を上げて周りの砂糖の温度がTi以上になり、温度が上昇し、またその周りの砂糖の温度が・・・・を繰り返して、砂糖の燃焼が周りに広がる。つまり、火は燃え広がるのである。


0 件のコメント:

コメントを投稿